2019-05

2019・5・24(金)飯森範親指揮日本センチュリー響「ハイドン・マラソン」

    いずみホール  7時

 西宮での演奏会は5時少し前に終ったので、阪急とJRを乗り継ぎ、環状線の大阪城公園駅の近くにある「いずみホール」へ、日本センチュリー交響楽団の「いずみ定期演奏会」を聴きに行く。
 ハイドンの交響曲連続演奏シリーズ「ハイドン・マラソン」の一環で、今日は「第23番」「第20番」「第85番《王妃》」、および挿入プログラムとしてのジョリヴェの「リノスの歌」が演奏された。コンサートマスターは荒井英治。

 この10年来、とりわけ日本のオーケストラの成長が楽しみになり、各地のオケを聴き歩いている。それに、東京では聴けないようなユニークなプログラミングや、東京のオケとの演奏より面白い音楽を聴かせてくれる指揮者にも出会えることがある。いろいろ勉強になるのである。
 自分ではそれを「音楽巡礼」と謙虚に(?)称しているのだが、井上道義からは「旅がらす」と野次られ、芸術文化振興基金のI氏からは、何と「寅さん」「一番星桃次郎」などと、━━(巧いことを言うものですなあ)。

 その音楽の股旅が、しかし今回は、旅先で不慮のリタイアを演じることとなってしまった。
 この「ハイドン・マラソン」、これまでエクストンのCDで何枚か接して、なかなかいいと思い、初めてナマを聴きに来た次第だったが、1曲目の「第23番」を聴いている最中に、持病の尿管結石の発作に襲われ始め・・・・。2曲目はこっそり席を移し、ホール最後部席に座って聴いていたのだが、ついに休憩時間に、蹌踉として会場を抜け出し、ホテルに逃げ帰る羽目に陥った。

 そのあとの救急車のことだの、大阪回生病院で痛み止めの処置をしてもらったことなどは特にここで記す必要もないことだが、とにかくこの体調では、折角の飯森と日本センチュリー響の「23番」にも、正確なコメントを述べられる状態ではなかったことをお許し願いたい。
 ただ、後ろの席で少し姿勢を楽にして聴いた、永江真由子(同楽団首席フルート奏者)が3人の弦とともに演奏したジョリヴェの「リノスの歌」の清涼かつ透明な美しさには、痛みを和らげる美味しい冷たい水を与えられたような気持になったことを、礼とともに報告しておきたい。

 これで結局、土曜日に予定していた名古屋での名古屋フィル定期を聴く計画は残念ながら放棄して、早朝一番の新幹線で帰京せざるを得なくなった。この名古屋フィル定期は、シンガポール出身の注目の若手、カーチュン・ウォンがシベリウスとバルトークを指揮する、実に興味深い演奏会だったのだが、本当に惜しいことをした。

2019・5・24(金)井上道義指揮兵庫芸術文化センター管弦楽団

     兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール  3時

 前日から引き続き関西に滞在、阪急電車の西宮北口駅の南口に直結したこのホールで、兵庫芸術文化センター管弦楽団(所謂PAC)の5月定期を聴く。3回公演(すべてマチネー)の、今日は初日だ。

 この日の最大の売りものは、メキシコの人気作曲家アルトゥーロ・マルケス(1950年生)の新作「トランペットとオーケストラのための《秋のコンチェルト》」が、名手パーチョ・フローレスの協演で初演されることにあったろう。
 これはPACとメキシコ国立響、米国アリゾナ州のツーソン響、スペインのオビエド・フィルハルモニアの共同委嘱作で、演奏時間20分ほどの豪壮華麗なラテン・アメリカ系作風のトランペット協奏曲だ。

 フローレスは4種の楽器を使用し、鮮やかに吹きまくった。それは確かに見事なものだったが、YouTubeに出ているものほどには豪壮な、胸のすくような演奏には感じられなかったのは、もしかして初日の演奏ゆえだったのかもしれない。おそらく2日目、3日目の演奏ではもっと自由闊達に吹いたのではなかろうか。

 一方PACの演奏も、これに先立ち1曲目に取り上げられたマルケスの有名な「ダンソン第2番」を含めて、何となくぎこちない、生真面目な━━要するにラテン・アメリカ音楽的な解放感があまり吹き出ていないようなものだったようだ。
 ただ、改めて言うまでもないが、このオーケストラはプロの固定メンバーによる団体ではなく、所謂「アカデミー・オーケストラ」だから、それを承知で聴く要があろう。とはいえ「ゲスト・トップ・プレイヤー」と「スペシャル・プレイヤー」には、国内外のオケの首席奏者クラスの人たちが招かれており、たとえば今日のコンサートマスターには田野倉雅秋、ヴィオラには読響の柳瀬省太、トランペットには東京響の佐藤友紀・・・・といった人たちの名も見えていたのである。

 マルケスでの演奏が意外におとなしかったので、井上とPACの演奏はむしろ第2部でのコープランドの2作━━「ロデオ」からの「土曜の夜のワルツ」と「ホー・ダウン」および「ビリー・ザ・キッド」組曲の方に聴き応えがあった。
 まあ、これらの演奏にもまだちょっと硬さがあったといえば言えぬこともないが、流石コープランド、音楽の貫録という点では独特のものがあり、それに救われた感もあるだろう。 
 井上道義の指揮の身振りの視覚的な面白さも加わって、これは愉しめた。コープランドのこういった作品は、日本では滅多にナマでは聴けないので━━どうも昔から日本のお堅い愛好家たちの間には、この種の曲に対する偏見のようなものがあるのでないかと思うが━━いい機会でもあった。

 アンコール曲はルロイ・アンダーソンの「プリンク・プランク・プルンク」(プリンク・プレンク・プランク)。

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