2019-05

2019・5・23(木)シャルル・デュトワ指揮大阪フィル

     フェスティバルホール(大阪) 7時

 久しぶりシャルル・デュトワ。今年10月には83歳になるはずで、歩く姿には少しばかり年齢を感じさせるものがあるものの、いざ指揮台に上れば、身のこなしと指揮の姿は以前と変わらない。
 この人の指揮する音楽には豪華さ、華麗さというイメージがあるが、特に今日のようなフランス・プロ━━ベルリオーズの「ローマの謝肉祭」と「幻想交響曲」、その間にラヴェルの「ダフニスとクロエ」第2組曲(合唱付きの版)を挟むというプログラムにおいては、彼の本領が十二分に発揮されるというものだ。

 公演初日のせいか、最初の序曲「ローマの謝肉祭」では、大阪フィルの演奏にもやや生硬なものが感じられたものの、「ダフニスとクロエ」ではその硬さも薄紙をはがすように溶けて行った。管のソロも良く、後半ではデュトワらしい鮮やかな押しの強さも存分に発揮されて、壮大な音の絵巻が繰り広げられた。大阪フィルハーモニー合唱団(200人近い大編成)も好演である。

 「幻想交響曲」も豪華で、スケールの大きな演奏ではあったが、しかしデュトワはこの曲の標題音楽性にはさほど捉われず、狂気の世界に陥ることなく、あくまでフォルムを崩さずに、むしろ古典派の交響曲とロマン派交響曲との微妙な均整を求めて構築していたようにも感じられる。全曲の終結部での豪壮なサウンドは目覚ましかったが、音楽そのものは決して狂乱状態になることはなかったのである。
 ただ、これはもしかしたら初日ゆえの演奏の特徴であって、2日目の演奏ではまた違った、もっと自由な、開放的な解釈と演奏になるのかもしれないが。

 いずれにせよ、この「幻想」といい、その前の「ダフニス」といい、大フィルからかくもブリリアントな音色を引き出したデュトワの力量と感性は相変わらず見事、と称して言い過ぎではないだろう。
 プライヴェートな面であれこれあったのは承知しているけれども、彼はやはり、かけがえのない指揮者だ。今後とも活躍してもらいたい。「慎重な東京」よりも、「自由な関西」で、いち早くメジャー・オケの定期に登場したシャルル・デュトワ。3階席の僅かな個所を除いてほぼ満席の状態になったこの巨大なフェスティバルホールで、彼は盛大な拍手とブラヴォーを浴びたのだった。

 今日のコンサートマスターは崔文洙。
       →(別稿)モーストリー・クラシック8月号

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