2019-05

2019・5・21(火)第10回浜松国際ピアノコンクール入賞者披露演奏会

      紀尾井ホール  6時45分

 朝からの強風豪雨も、幸いにも夕方には上がって、東京公演は満席の盛況。昨年11月のコンクール入賞者6人の中、第2位の牛田智大を除く5人が出場した━━第6位の安並貴史、第5位の務川慧悟、第4位の今田篤、第3位のイ・ヒョク(韓国)、優勝者のジャン・チャクムル(トルコ)である。

 まず安並貴史がバルトークの「野外にて」と、ドホナーニの「4つの狂詩曲」から「第1番」を弾く。バルトークでは、コンクールの時に比して気魄にあふれた演奏を噴出させ、一方、後者では落ち着いた演奏で彼らしい特徴を聴かせた。
 次に務川慧悟がドビュッシーの「前奏曲集第2集」からの2曲とショパンの「バラード第4番」を弾いたが、このドビュッシーが、あたかも本選の時のプロコフィエフの「第3協奏曲」での烈しい演奏を再現した如く、特に「花火」など猛烈なヴィルトゥオーゾ的なアプローチになっていたのには度肝を抜かれた。これぞ若さの勢いというべきか、微笑ましい。

 今田篤も同様、コンクールの時よりも自由な瑞々しさを湛えた表情でショパンの「葬送ソナタ」を弾いた。誇張なしの自然体で弾かれたこのショパンは、しっかりした均衡を備えた演奏である。

 休憩後にまず登場したのは、イ・ヒョク。ストラヴィンスキーの「ペトルーシュカらの3章」を弾いた。よく言えば体当たり的な熱演というべきかもしれないが、しかし最初から最後までフォルティシモの一本調子で、高音をキンキンした音色で叩き続けるその「勢いのよさ」には少々辟易させられたのが正直なところだ。まあ、第3次予選の際に聴かせていた輝かしさが見事に復活していたのはいいことだろうし、自己主張の強烈な演奏という点で、今後が期待されるだろう。

 最後に登場したのが優勝者のジャン・チャクムルで、バッハの「イギリス組曲第6番」と、メンデルスゾーンの「スコットランド・ソナタ」を弾いた。バッハに対するアプローチが、厳格な構築というよりむしろ自由闊達な躍動という面に置かれていることに、若者らしい感性だなと、何となく嬉しくなってしまう。先頃のコンクールの際の演奏でも示されたとおり、この人の音楽の多彩さは、出場者の中でもずば抜けた存在だ。

 最後には5人そろってステージに現われ、手を繋いでそれを高く上げながら答礼するという微笑ましい光景が繰り広げられた。この若者たちに、輝かしい未来があらんことを。

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