2019-05

2019・5・19(日)新国立劇場 モーツァルト:「ドン・ジョヴァンニ」

      新国立劇場オペラパレス  2時

 2008年12月にプレミエされたグリシャ・アサガロフ演出によるプロダクションで、今回は4度目の上演になる。2008年12月13日2012年4月19日2014年10月22日の日記にそれぞれ書いているので、詳細の重複は避ける。

 ルイジ・ペーレゴの舞台装置は落ち着きのある美しいもので、これは傑作の部類に入るだろう。ただ、アサガロフの演出は、単なる小奇麗なものというに止まり、良くも悪くも、それほど目立つ特徴はない。それだけにどの場面がどうのという強い印象は残っていないのだが、今回も再演演出担当の手を経ている所為か、何だか更に平凡で締まりのない舞台になっていた感がある。

 音楽面では━━。
 今回はカーステン・ヤヌシュケというドイツの若手指揮者が振った。真面目に、丁寧に、バランスのいい指揮をする。東京フィルから爽やかな音を引き出し、モーツァルトの美しい音色を損なわずに再現していたということだけでも一つの功績といえるかもしれぬ。
 歌手陣は、ニコラ・ウリヴィエーリ(ドン・ジョヴァンニ)、ジョヴァンニ・フルラネット(レポレッロ)、妻屋秀和(騎士長)、ファン・フランシスコ・ガテル(ドン・オッターヴィオ)、マリゴーナ・ケルナジ(ドンナ・アンナ)、脇園彩(ドンナ・エルヴィーラ)、九嶋香奈枝(ツェルリーナ)、久保和範(マゼット)、新国立劇場合唱団。

 脇園彩は、昨年のちょうど今頃、大阪のフェスティバルホールで上演された「ラ・チェネレントラ」の題名役に迎えられながら、体調が悪くて本調子でなく、私たちを残念がらせたことがあった。だが今日は、ドンナ・エルヴィーラ役でふくよかな、しかも風格のある歌唱の本領を聴かせてくれたのは嬉しい。

 一方、題名役のウリヴィエーリは安定した歌唱ながら、今ひとつ主人公としての迫力が感じられなかったのは、彼の責任というよりは、明確なコンセプトを欠いた再演演出の所為ではなかろうかと思う。
 しかし、役者だったのは、オッターヴィオを歌うガテルだ。ソット・ヴォーチェの見事さもさることながら、最後のアリアでは次第に異様な、不気味な目つきに変わり、独りよがりの英雄的陶酔に浸る表情に物凄さを増す。このオッターヴィオという男はやはりどこかヤバイ奴だ、ドンナ・アンナがもっともらしい理由をつけて結婚を先延ばしにしたのも、もしやそれに気がついたからではないのか、という解釈を浮き彫りにしてくれたのであった。

 5時20分頃終演。さすがモーツァルト、流石ドン・ジョヴァンニ、客席は盛況である。

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