2019-04

2019・4・27(土) びわ湖クラシック音楽祭(8) かがり火コンサート

     ピアザホール  7時30分~8時30分

 「かがり火コンサート」とは、ホールの建物に隣接する湖畔広場で、大きなかがり火を焚いて行う名物コンサートだという話だったが━━私は今年初めて見るので楽しみにしていたのだが、あいにく今日は物凄い北風、あの琵琶湖畔に何と白い波濤が打ち寄せる天候とあって、屋外の演奏は中止、反対側にあるホテル淡海の建物の中のピアザホールなる所へ会場を移して開催されたのは、仕方がないとはいえ、私としては大いに落胆したことであった。
 しかもこのピアザホールはクラシック音楽用の会場ではないので、残響はゼロ、音は味も素っ気もなく、演奏のちょっとしたアラも必要以上に露呈させてしまうので、聴いていて辛くなる。

 プログラムは、モーツァルトの「レクイエム」にザイフリートの「リベラ・メ」およびモーツァルトの「アヴェ・ヴェルム・コルプス」を接続し一組にしたものだった。
 祝祭になぜ鎮魂曲を演奏するのか趣旨はよく解らないが、それはともかくとしても━━マティアス・ユング指揮のザクセン声楽アンサンブルとびわ湖ホール声楽アンサンブル、ザ・カレッジ・オペラハウス管弦楽団の演奏が乾き切って精彩を欠き、しかも4人の声楽ソリストの大半が、言っちゃ何だが、この曲を歌うには全く向いていないように思われ・・・・。何とも残念至極。

 猛烈に寒い。大津駅南口にある「テトラ大津・京都」に泊。

2019・4・27(土)びわ湖クラシック音楽祭(7)びわ湖ホール四大テノール

      メインロビー  6時30分~50分

 「レイクビューコンサート」と題して、大ホールと中ホールとの間に拡がる、レストランのスペース越しにびわ湖も見える(かどうか?)広いロビーでは、1日に5回ずつ、20分間ほどの無料コンサートも行なわれている。椅子席もある。

 この回はびわ湖ホール売りものの「びわ湖ホール四大テノール」(清水徹太郎、竹内直紀、二塚直紀、山本康寛)の歌声。さすがテノール軍団、明るく賑やかで華麗で力強く、いっぺんに聴衆を巻き込んでしまう。離れて休んでいたり仕事をしていたりする人々をも引き寄せてしまう華やかさなので、山のような人だかり(?)になっていた。ピアノは植松さやか。

2019・4・27(土)びわ湖クラシック音楽祭(6)コンスタンチン・リフシッツ

     中ホール  4時55分~5時5分

 J・S・バッハの「ゴルトベルク変奏曲」を弾いた。
 この曲は、リフシッツが17歳の時にモスクワで演奏して大成功を収め、直ちにレコーディングして、それが世界に彼の名を知らしめるきっかけとなった曲でもある。

 深みを増した彼の「ゴルトベルク」は聞き逃せぬ、と思って楽しみにしていた演奏会だったが、まさに期待通り。一歩一歩立ち止まりつつ物思いに耽るような表情で開始された冒頭の「アリア」から、すでに聴き手の心を惹きつけて離さない。そして、起伏と陰翳に富んださまざまな世界を通り過ぎて、最後にその「アリア」が、今度は優しく率直に、いかにも大団円的な安息感を以って奏されるという構築の巧さ。実に魅力的な「ゴルトベルク変奏曲」であった。

 演奏時間は、昔のCDでの79分とは違って、今回はTPOを考えたか、50分ほどの形でまとめられていたが、その代りアンコールとして、同じバッハの「プレリュードBWV.943」、「アダージョBWV.968」、「プレリュードBWV.929」が演奏された。これも、いずれも見事なもの。聴衆が熱狂していたのが印象的であった。

2019・4・27(土) びわ湖クラシック音楽祭(5) プーランク:「声」

      大ホール  3時~3時55分

 これはびわ湖ホールの売りもののシリーズの一つ「沼尻竜典オペラセレクション」の一環。プーランクのモノ・オペラ「声」(「人間の声」)の演奏会形式上演で、びわ湖ホール芸術監督・沼尻竜典が指揮、京都市交響楽団が演奏、中村敬一が演出しての字幕付フランス語上演だ。
 指揮者もオーケストラもステージ上に配置され、指揮台の下手側前方にソファと電話やコップなどが乗せられた小さい机が置かれ、それに照明演出がつく。

 当初は砂川涼子が歌うことになっており期待していたのだが、体調不良の由で降板とのこと。そこでカヴァーキャストに入っていた石橋栄実が歌ったが、急な交替にもかかわらず素晴らしい歌唱と演技を示してくれたのは嬉しい。彼女としてはこれでまた新境地を開いたことになるのではないか。

 オペラは、主人公の女性が「過ぎ去りつつある恋人」と、40分以上にわたって電話で応答し続ける物語だ。
 石橋栄実が歌い演じたこの主人公は、ヒステリックに興奮したり哀願したりするにしても、外国人女性歌手が演じるような猛烈型(?)タイプとは違い、歌にも演技にも、優しさとか可憐さとかいった雰囲気を感じさせる。それはやはり日本人歌手ならではの良き特徴だろうか。字幕の歌詞(中村敬一)の訳文がこのドラマの内容にしてはえらく丁寧な言葉だったのも、そういう印象を更に強めたかもしれない━━。

 彼女が「愛しているわ」と繰り返しつつ歌ってソファに倒れ、音楽が終って暗転した瞬間、私の周囲の客席から感動と納得を思わせるような低い嘆声が聞こえたのが面白かった。観客は沸いた。沼尻と京響の色彩的な演奏をも讃えたい。

2019・4・27(土) びわ湖クラシック音楽祭(4) 葵トリオ

     中ホール  午後1時05分~1時55分

 こちらは2018年のミュンヘン国際コンクールに優勝して話題を集めている日本の三重奏団。東京藝大出身で、ピアノの秋元孝介、ヴァイオリンの小川響子、チェロの伊東裕━━3人の名前の頭文字を取り、かつ「大望、豊かな実り」という花言葉を持つ「葵」を団体名とした由。

 今日はベートーヴェンの「三重奏曲第5番ニ長調《幽霊》」と、マルティヌーの「三重奏曲第3番ハ長調」、アンコールにハイドンの「三重奏曲第27番ハ長調」の第3楽章を取り上げたが、いやその演奏の歯切れのいいこと。純度の高い、曖昧さの全くない、活気と緊迫感のある、強い推進力を持った音楽の表現が素晴らしい。アンサンブルも完璧だが、綺麗にまとめるということでなく、明快な自己主張を感じさせるところも魅力だ。

 聴きながら私は、かつて桐朋の若手たちによる「桐五重奏団」が登場した時の演奏を何となく思い出していた。が、葵トリオの演奏は、更に「華」を感じさせるだろう。マルティヌーとハイドンが終った時には、客席は沸きに沸いていた。

2019・4・27(土)びわ湖クラシック音楽祭(3)オープニングコンサート
沼尻竜典指揮京都市交響楽団と中村恵理、ユリアン・シュテッケル

     大ホール  午前11時~12時05分

 ヴェルディの「運命の力」序曲、同オペラからのアリア「神よ平和を与えたまえ」、ドヴォルジャークの「チェロ協奏曲」。

 このホールで、オペラでなくコンサートを聴いたのは確かこれが二度目だが、今回は特に音響がいいのに感心した。オペラを上演できるホールでありながら残響が豊かで、ステージ後方に並んでいる金管などが奥行き感を持って響いて来るのは、反響版のつくり方が巧いせいだろう。
 もちろんそれには、京響の良さも影響しているはずである。あまり練習時間はなかったという話だが、それでもたっぷりとした重厚な風格を備えた快い演奏でこの開幕演奏会を飾っていた(コンサートマスターは泉原隆志)。

 沼尻竜典の指揮も、例の如く鮮やかで活気に富んだものだ。「序曲」は何となく物々しく構えた演奏だったものの、3つの作品すべてをたっぷりとしたスケール感の引き締まった構築で披露した。
 また、アリア「神よ平和を与えたまえ」━━これが今年の音楽祭のテーマであり象徴ともいうべきものだが━━を歌った中村恵理も、華麗というよりは心理的な襞の濃い劇的な表現で、このレオノーラのアリアを聴かせてくれた。

 ただ、そこまではいいのだが、次の協奏曲を弾いたユリアン・シュテッケルというチェリストが、どうにも無神経すぎる。朗々たる開放的な音色なのだが、それはオーケストラと全く溶け合わず、異質に浮かび上る。ドヴォルジャークとは甚だ無縁な、陰影に乏しい単調な演奏で、しかも最初から最後まで表情が変わらず、音程もしばしば不安定になるといったソロなのである。これが2010年にミュンヘン国際コンクールで優勝した人だというから驚いた。こんな演奏の協奏曲をやるくらいなら、快調の沼尻と京響だけで何かシンフォニーをやってもらった方が余程よかった・・・・。

2019・4・27(土) びわ湖クラシック音楽祭(2) 吉野直子(ハープ)

      小ホール  午前10時~10時45分

 前夜品川のホテルに宿泊し、早朝の「のぞみ」で発ったのだが、琵琶湖線の遅れやら何やらあって、結局10時の開演時間には間に合わず。
 プログラムはドビュッシーの「月の光」、細川俊夫の「ゲジーネ」、グランジャニーの「《子供の時間》組曲」、リスト~ルニエ編の「愛の夢」というものだったが、ぎっしり詰まった小ホールのうしろで立ち見しながら聴けたのは、辛うじて最後の「愛の夢」のみとなってしまった。

2019・4・27(土) びわ湖クラシック音楽祭(1)

     滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール

 「ラ・フォル・ジュルネ」に替わり、昨年からスタートした「近江の春 びわ湖クラシック音楽祭」。
 びわ湖ホール芸術監督の沼尻竜典がプロデュースして、今日と明日、大中小3つのホールと、湖の見える広いメインロビーを中心に、隣接する湖畔広場およびピアザホール(ピアザ淡海の2・3階)も活用し、併せて大津駅その他滋賀県内各地で関連イヴェントを行なう。今回は初めて、たった1日ではあるが、どんな雰囲気かと取材に赴いた次第。

 びわ湖ホールの中での、音楽祭の本体は、なかなか濃密で充実したものである。
 2日間における出演者は、たとえば京都市交響楽団(沼尻竜典指揮)、大阪フィル(大植英次指揮)、コンスタンチン・リフシッツ、葵トリオ、吉野直子、原田節、大西宇宙、金子三勇士、舘野泉、渡辺玲子、三浦一馬、仲道郁代、須川展也、福井敬、幸田浩子、中村恵理、石橋栄実、晴雅彦、ザ・カレッジ・オペラハウス管弦楽団、ザクセン声楽アンサンブル、びわ湖ホール声楽アンサンブル、びわ湖ホール四大テノール、etc,etc━━。
 1公演は大体1時間以下である。今年のテーマは「神よ平和を与えたまえ」なる由。
 その中から次の7つの演奏会を聴く。

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