2019-04

2019・4・22(月)角田鋼亮指揮セントラル愛知交響楽団

     愛知県芸術劇場コンサートホール  6時45分

 角田鋼亮がセントラル愛知響の常任指揮者に就任。その定期第1弾を、とんぼ返りで聴きに行く。
 プログラムが、モシュコフスキの組曲「世界中の国々から」Op.23、加藤昌則の「刻の里標石」(ときのマイルストーン)から第2、第4、第5、第6曲、ラフマニノフの「交響曲第2番」━━という風変わりなものだったことも興味を惹いた。

 就任記念定期に、所謂名曲路線を採ることなく、ユニークな選曲で新機軸を出す。これは、若い指揮者が自分のオーケストラとともに楽壇に打って出るに際し、実に意欲的な姿勢と言うべきである。
 秋以降に彼が定期で振る予定のプログラム編成もかなり尖ったものだが、全国に一つくらい、このような冒険を行なうオケがあってもいいだろう━━たとえそれが最初のうちだけではあっても。ただし定期以外のシリーズでは、今年12月からはハイドンの「ロンドン・セット」を中心にした6回シリーズを行なうことも予告されている。

 最初のモシュコフスキの組曲は、ふだんナマで聴く機会など、ほとんど無い作品だ。ロシア、スペイン、ハンガリーなど欧州各国のスタイルを模して書かれた6曲からなる軽い作品集。セントラル愛知響も、均衡の取れたいい音を出していた。
 このオケ、先頃スワロフスキーの指揮で聴いたばかりだが、小型のオケながら、なかなかいい演奏を聴かせてくれる。

 加藤昌則の作品は、先年、会津の戊辰の役を題材にしたダイナミックな音楽を持つオペラ「白虎」を聴いたことがある。
 この「刻の里標石」も、手法は伝統的ではあるものの管弦楽法はなかなか色彩的で、聴きやすい。第2曲と第6曲にはジョン・ウィリアムズ的な曲想も出て来るが、後者の歌詞「じゃあね」をそのまま歌にすれば「ジュラシック・パーク」のテーマのモティーフと同じ旋律形になるのだから、これはウィットと言えるだろう。
 日本語の他に英語や独語などの歌詞による曲もある。宮本益光━━前出の「白虎」の台本作者が彼だった━━の明晰な発音による闊達な歌唱の良さもあって、聴衆も楽しんだ様子であった。

 ラフマニノフの「第2交響曲」は、角田鋼亮らしく、整然とまとめた演奏で、オーケストラも量感充分の、整ったいい音を出した。
 ただ、容の上では実によくまとまった演奏ではあったが、単にその段階でとどまっていたという感もある。この上に求められるのはこの曲に内在する哀感、陰翳、深い情感といったものが如実に再現されることであろう。
 そうしたものを演奏に溢れさせる指揮の域に達するのはこれからだろうが、なるべく早くそういう指揮者になってもらいたい。全曲大詰の昂揚でも、テンポを殊更に速めることなく、きちんと締め括ったが、このあたりではもう少し芝居気があってもいいだろうと思う。

 だが、幸いに彼は、オケとの相性もどうやら良いらしい。それに聴くところによれば、彼はここ東海地方の某高校の出身だとかで、終演後にもホワイエで「後輩たち」の学生にどっと囲まれていた。「彼はこの地域(名古屋のことだろう)では客を集められるはずですよ」と事情通の知人が語っていたのが印象に残る。

 なおセントラル愛知響の今日の編成は、弦は12-10-8-8-6。しかし、定期公演のプログラム冊子がかなりシンプルなのはいいとしても、オーケストラのメンバー表くらいは掲載して欲しいものだ。それに、開催会場名も表紙に印刷しておいては如何?

 21時48分の「のぞみ」で帰京。
      ☞モーストリー・クラシック7月号「オーケストラ新聞」

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