2019-04

2019・4・15(月)METライブビューイング 「連隊の娘」

    東劇  7時

 3月2日上演のライヴ映像によるドニゼッティの「連隊の娘」。フランス語による上演。
 指揮はエンリケ・マッツォーラで、指揮する表情を見ていると吹き出したくなるけれども、METのオケから引き出す音楽は見事に引き締まって躍動感も豊かである。ロラン・ペリーの演出もドタバタ調を巧みに交えた鮮やかなもの。METらしく、バランスのよいプロダクションだ。

 出演者が、役者揃いである。
 マリー役のプレティ・イェンデは、素晴らしく芝居上手で、変顔も辞さずの闊達かつ躍動的な演技。これほどスポーティな連隊の娘も滅多に見られないだろう。歌唱も華麗な高音からコミカルなだみ声まで変幻自在、若さいっぱいに歌いまくる。アフリカのズールー族出身だと自分で言い、リハーサルでセリフの中にズールー語を交えてみたら出演者たちから大うけだったので本番でも入れてみた、と陽気に語る。祖国を誇る、という姿勢が素晴らしい。

 恋人役のトニオを歌い演じたのは、メキシコ出身のハヴィエル・カマレナ。所謂イケメン然としたテナーではなく、丸っこくて愛嬌のある顔立ちをした人で、にこやかな顔をした時の竜雷太にそっくり(もっと若いが)。私の知人の女性(!)にも何となく似ているので、何となく愉快になって来る。
 だが、例の「ハイC」は、輝かしく完璧だ。観客を文字通り熱狂させ、「ビス」を実行(アンコールとして要所をもう一度歌う)した。客もスタンディングで素直に沸き返る。こんな光景も、いかにもMETらしい。

 シュルピス役の巨体のマウリツィオ・ムラーロは、声の調子が悪いというアナウンスもあったが、味のある兵士という感で無難にこなしていた。
 その他、ベルケンフィールド侯爵夫人をステファニー・ブライズが演じ、重量感あるコミカルな役者ぶりを見せ、クラッケントルプ公爵夫人役にはベテラン映画女優のキャスリーン・ターナーが特別出演してコミカルかつ怖い迫力を披露。

 かようにこれは、これまで観た「連隊の娘」の中でも、最も面白いものの一つだった。
 案内役に起用されたナディーナ・シエラ(今シーズンのMETではジルダを歌っている)も、随分朗らかに笑う人だが、そのインタヴュ―に答える歌手たちの明るさ、爽やかさも素適だ。本番だけでなく、幕間の趣向さえ明るい今回の「連隊の娘」だったのである。
 上映時間は約3時間。

«  | HOME |  »

























Since
September 13, 2007

これまでの来訪者数

最近の記事

お知らせ

●2007年7月以前のArchivesを順次、アップロード中です。併せてご覧下さい。
2007年7月
2007年6月
2007年5月
2007年4月
2007年3月
2006年7月

Category

ブログ内検索

プロフィール

リンク

News   

雑誌 モーストリー・クラシック に連載中
「東条碩夫の音楽巡礼記」