2019-04

2019・4・13(土)ジョナサン・ノット指揮スイス・ロマンド管弦楽団

     東京芸術劇場 コンサートホール  2時

 東京公演最終日のプログラムは、メンデルスゾーンの「ヴァイオリン協奏曲ホ短調」とマーラーの「交響曲第6番イ短調《悲劇的》」。

 協奏曲を弾いたのは、2016年のモントリオール国際コンクールに優勝し、5つの特別賞も総なめにして話題を集めた辻彩奈である。
 若手にも似合わず、ステージ上の姿は堂々として大物のイメージだが、もちろん姿だけでなく、演奏も堂々としてスケールが大きい。何より表情が濃厚で、音楽に鋭い陰翳が備わっているところに、強烈な個性を感じさせるだろう。22歳の若さでこれだけ明快な、しかも筋の通った自己主張を聴かせるとは、実に驚異的な女性ヴァイオリニストだ。

 今日のプログラムについてノットは、「前半(メンデルスゾーン)は喜びへの情熱、後半(マーラー)は絶望への情熱」と語っている(プログラム冊子掲載のインタヴュ―記事)。
 ただ、実際の演奏では、彼の指揮するマーラーの「悲劇的」は、さほど重苦しくはなく、ものものしくもない。どちらかと言えば軽めで、明快な色合いを持った演奏だろう。それゆえ、その絶望は救いようのないものでなく、爽やかで情熱的な若者の苦悩━━とでもいったイメージになるだろうか。全てのパートの隅々まで神経を行き届かせ、巨大で激烈な起伏を以って構築した「悲劇的」である。

 といっても、フィナーレだけは、ノットはこの長大な楽章に形式性を持たせることに少々手を焼いているような気がしないでもない。ひたすら音のエネルギーのみで追い上げるだけでは、この楽章は、やはり騒々しく纏まりを欠くものになりかねないのではないか。その意味では、結局は、マーラーが考えていたような、英雄の闘いとか、運命の打撃とかいったような、標題的な解釈が必要になるのかもしれない。
 今回は、「スケルツォ」が第2楽章に、アンダンテが第3楽章に置かれて演奏された。

 カーテンコールでノットは、オーケストラの中を走り回り、各々のパートの奏者たちを立たせて聴衆の拍手に応えさせていた。最後には、自らも聴衆の熱狂的なソロ・カーテンコールに応えていたが、彼のこの人気は、今後の東京響との活動にも良い影響を与えることだろう。

«  | HOME |  »

























Since
September 13, 2007

これまでの来訪者数

最近の記事

お知らせ

●2007年7月以前のArchivesを順次、アップロード中です。併せてご覧下さい。
2007年7月
2007年6月
2007年5月
2007年4月
2007年3月
2006年7月

Category

ブログ内検索

プロフィール

リンク

News   

雑誌 モーストリー・クラシック に連載中
「東条碩夫の音楽巡礼記」