2019-03

2019・3・17(日)エリアフ・インバル指揮東京都交響楽団

     サントリーホール  2時

 ブルックナーの「交響曲第8番」。インバルがこの曲の「現行版」(ノーヴァク版第2稿)を指揮するのを聴いたのは、今回が初めてだ。

 予想通りの、いや予想を上回るほどの速いテンポで、全曲の演奏時間はおそらく72分から75分の間ほどではなかったろうか? そのかみのベイヌムが指揮したテンポに近い快速調の「ブル8」だったが、こちらインバルの指揮は、全曲にわたり緊迫した雰囲気が漲り、一分の隙もない強靭な構築性に支配された音楽である。壮大な自然の威容を思わせる演奏というより、鋭い力で凝縮され、絶えず前へ前へと驀進して行くような演奏。

 私はこの曲の第3楽章を聴くと、いつも高山の奥深くにある静寂な湖の畔に佇むような思いになるのだが、今日のインバルと都響の演奏からは、そのような安息に浸ることさえ許されぬような、ひたすら何かに向かって駆り立てられるような感覚を強いられてしまう。
 だからといって、それは決して不快な感覚ではない。何より、演奏そのものが乾いたメカニックなものでなく、常に温かさを滲み出させているからだろう。疾走する第2楽章のスケルツォや第4楽章を含めて、こういう演奏もまた良きかな、と思うのである━━昔だったら、多分反発しただろうが。

 都響(コンサートマスターは山本友重)も見事だ。インバルの求める揺るぎない構築性を楽々と実現しているように感じられる。第4楽章最後の轟々たる坩堝の頂点では、先立つ3つの楽章の主題がいっぺんに組み合わせられるが、それらが少しの混濁もなく、均衡豊かな音で明晰に響きわたっていたのには感心した。

 会場には、久しぶりに聞く超大音量の、怒涛のような拍手。

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