2019-01

2019・1・12(土)ロレンツォ・ヴィオッティ指揮東京交響楽団

      サントリーホール  6時

 池袋での読響の演奏を聴き終って、赤坂のサントリーホールへ向かう。こちらは正月早々の「レクイエム」だが━━これは東響の定期演奏会。故マルチェロ・ヴィオッティの子息で、まだ20代後半のロレンツォ・ヴィオッティが客演指揮。森谷真理、清水華澄、福井敬、ジョン・ハオ、東響コーラスが協演。コンサートマスターは水谷晃。

 ロレンツォ・ヴィオッティ、すでに欧州の歌劇場では実績を重ねている気鋭の指揮者だが、すこぶる凝った表現を採る人だ。総休止を極度に長く取り、デュナミークの対比を劇的に強調し、弱音で沈潜する個所ではテンポを大きく落して苦悩の感情を━━叩きつけるように激しく囁く発声なども含めて━━強調する、といったように、かなり表情の濃い演奏をつくり出す。

 それらはまあ、調理法の一つともいうべきものだが、それによる肝心の料理の味はどうだったかということになると、私にはどうも、いつものような「美味しさ」が感じられなかったのである。細部をあまりに念入りに強調する作りにしてしまうと、かえって作品全体における自然な流れや、壮大な構築のバランスを失わせることが多いものだ。策に溺る、ということか。聴き慣れたこの曲が、今日は異様に長く感じられてしまった。
 「怒りの日」のような個所で、合唱(凄まじい大人数だった)と管弦楽が全力で咆哮する時にも、音楽全体の響きが混濁してカオス(混沌)状態になってしまった感もある。これはもちろん、指揮者の責任だ。
 毒気に当てられたせいか、作曲者名を書くのを忘れ、コメントでご指摘を頂戴した。これはヴェルディの「レクイエム」である。

2019・1・12(土)山田和樹指揮読売日本交響楽団

    東京芸術劇場 コンサートホール  2時

 恒例の早稲田大学オープンカレッジのオペラ入門講座━━今回のシリーズは「オペラのクライマックスにおける手法」で、第1回の今日は「愛」というテーマ━━での講演を終って池袋に駆けつける。
 この日の読響は「土曜マチネーシリーズ」だ。首席客演指揮者・山田和樹の指揮により、ラヴェルの「高雅で感傷的なワルツ」と「ピアノ協奏曲ト長調」(ソロはホアキン・アチュカロ)、リムスキー=コルサコフの「シェエラザード」というプログラムが演奏された。コンサートマスターは小森谷巧。

 カラフルな性格を備えた作品を手がけては天下一品の山田和樹だし、今日の3曲でもそういう個性は多かれ少なかれ発揮されてはいたが━━。「高雅で感傷的なワルツ」での演奏は意外に地味で生真面目で、もう少し輝きと多彩な音色が欲しいところ。もっともこの曲には、もともと一筋縄では行かないという性格もあるだろう。

 続くコンチェルトでは、86歳の巨匠アチュカロの、何とも温かいヒューマンな味に富むソロがすべて。アンコールで弾いたスクリャービンの「ノクターン」とともに、こういう人間味あふれる演奏を聴かせてくれるピアニストは、今や稀有の存在である。

 「シェラザード」では、読響の音響的威力が効果を発揮したが、小森谷のヴァイオリン・ソロは、正確ではあるものの、千一夜の物語をシャリアール王に語るシェエラザード姫の口調としては、もっと色気というか、艶めかしさが必要なのではないか?

 アンコールは、アザラシヴィリの「ノクターン」という曲。私は初めて聴いたのだが、まるで20世紀中盤以前のミュージカルか何かのナンバーのように、極度に甘美なメロディに溢れた曲であった

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