2019-01

2019・1・6(日)大植英次指揮日本フィルハーモニー交響楽団

      東京芸術劇場 コンサートホール  2時

 大植英次が客演指揮したこの正月の演奏会は、日本フィルの「第226回サンデーコンサート」。プログラムは、外山雄三の「管弦楽のためのラプソディ」、竹澤恭子をソリストにメンデルスゾーンの「ヴァイオリン協奏曲ホ短調」、ブラームスの「交響曲第1番」と。コンサートマスターは客演の田野倉雅秋。

 外山雄三の「ラプソディ」は、作曲されてから間もなく50年になろうという曲だが、相変わらず演奏頻度が高い。
 大植は、ソーラン節の個所をゆっくりしたテンポで演奏したり、拍子木の最後の音符と「八木節」との間に大きな掛け声を入れたり、以前からいろいろ指揮に趣向を凝らしている。とはいえ、演奏会の冒頭でのこの大騒ぎは、聴衆にしてみれば少々ノリにくかったような雰囲気が感じられた。

 竹澤恭子が弾くメンデルスゾーンの協奏曲では、所謂流麗さとか甘美とかいった趣きとは対極的な、例えばスラーの位置を判然と区別して弾いて行くようなアプローチで、音楽にある種の造型的な鋭さと厳しさを付加して行く演奏が印象的だ。こういうスタイルは、以前にも誰だったか女性奏者の演奏でも聴いたことがあるけれども、この作曲家の中の反ロマン的な要素を浮き彫りにするという点では、すこぶる興味深い手法に違いない。
 正直なところ、聴いていて少々落ち着かぬ気分にさせられる演奏ではあるが、聴き慣れた曲が新鮮な刺激を満載して響いて来る、という楽しさはある。

 ブラームス。第1楽章序奏の第80小節からのオーボエなどを大きくリタルダンドして引き延ばすなどといった「大植節」があちこちに現われ、それは私には、曲全体の大河のような壮大な流れを阻害するように感じられて、些か辟易させられるところがなくもなかったが、曲の中盤から後半にかけてはそれも気にならなくなった。特に終楽章の頂点では、日本フィルのどっしりした緻密な響きが見事な結果を生んでいたと思う。

 竹澤恭子が弾いたソロ・アンコールは、バッハの「無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第3番」からの「ガヴォット」だった。
 一方、オーケストラのアンコールは、また「ラプソディ」の、幕切れの景気のいい「八木節」の部分。大植の合図を受け、今度は1階席の客が何と全員総立ちになり、手拍子でノリまくった。よくこれだけノッたものだ。おなじみの民謡で、年輩のお客さんが多かったためもあるのだろうか? 打楽器奏者たちが法被に着換えて威勢よく楽器を叩いていたのが、何となく日本フィルらしい。
 なお昨年の暮近く、日本フィルがやはり大植英次の指揮で韓国に演奏旅行した際、これをやってやはりお客が総立ちでノリまくったという話を聞いたが、当節の国際情勢の中で、興味深いことではある。

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