2018-10

2018・10・21(日)ジョヴァンニ・アントニーニ指揮読売日本交響楽団

     東京芸術劇場コンサートホール  2時

 読響の「マチネー・シリーズ」だが、プログラムが普通の大オーケストラの演奏会ではなかなか聴けないような趣に富んでいて、これはユニークな企画だった。読響の客演アーティスト選定とプログラミングの多彩さには、つくづく感服する。

 で、そのプログラムは、ヴィヴァルディの「ドレスデンの楽団のための協奏曲ト短調」、同「マンドリン協奏曲ハ長調」、J・S・バッハの「マンドリン協奏曲ニ短調」、ヴィヴァルディの「リコーダー協奏曲ハ長調」、最後にハイドンの「交響曲第100番《軍隊》」というもの。マンドリンがアヴィ・アヴィタル、リコーダーがアントニーニ自身、コンサートマスターが日下紗矢子という布陣。

 こうした大ホールで思いもかけず聴く機会を得たヴィヴァルディの作品が、何とまた新鮮で美しく爽やかに感じられることか。最近の東京芸術劇場のこのホールも、オルガン席の反響板の調整の故か、すこぶる響きが良くなって来ているだけに、バロックのコンチェルトを実に豊かに響かせる。

 マンドリンを演奏したアヴィ・アヴィタルは、イスラエル出身で、今年40歳とのこと。生命力にあふれる、胸のすくような闊達極まるソロで2曲のコンチェルトを演奏してくれた。バッハのコンチェルトの原曲は、あの「チェンバロ協奏曲第1番」だが、その編曲はアヴィタル自身によるものだそうである。彼はアンコールにも自作の「プレリュード」からの小品を弾いてくれたが、これもまた、なんとまあ華麗で鮮やかで、見事なこと。

 後半のプログラムで、アントニーニが「吹き振り」としてリコーダーを演奏し始めた時、彼が指揮する際の軽やかで表情豊かなジェスチュアは、明らかにこのリコーダーを吹く際の身振りと深い関連性を持っているのだということに気がついた。つまり大きな、しかも自然な息づきにあふれているのである。テンポ感に不自然さがなく、演奏の流れに快さが感じられるのは、そのためであろう。
 「軍隊交響曲」での彼の指揮は、相変わらず音の動きのすべてを自らの身体の動きで体現するかのような大きな身振りだ。時には指揮台の上でしゃがみ込むような姿になったかと思うと、それが不知火型の土俵入りのように両手を拡げた姿のまませり上がり、オーケストラの昂揚を引き出すといった具合で、賑やかだが、音楽の流れがいいので面白い。

 なおその「軍隊」では、読響の上に、アントニーニがピリオド楽器オケで創り出す独特の楽器のバランス感や音色が既にはっきりと刻印されていた。先日のベートーヴェンの協奏曲や交響曲では、未だ聴かれなかったタイプのものである。1週間のうちにここまで指揮者に合わせて音色を変えてしまう読響の柔軟な能力は、たいしたものと言わなければなるまい。

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