2018-09

2018・9・3(月)サカリ・オラモ指揮ロイヤル・ストックホルム・フィル

     サントリーホール  7時

 今年春に、自ら首席指揮者を務めるBBC交響楽団を率いてやって来たサカリ・オラモが、今度は、同じく首席指揮者を務めるもうひとつのオーケストラ、ロイヤル・ストックホルム・フィルハーモニー管弦楽団と来日した。こちらは日本=スウェーデンの外交関係樹立150周年を記念してのイヴェントの一環とのこと。

 今日のプログラムは、「運命」と「巨人」の組み合わせというパワフルなもの。2曲ともかなり「豪壮」な演奏だった。
 ただ、ベートーヴェンの「交響曲第5番《運命》」の方は、大編成のオーケストラでノン・ヴィブラート奏法に近いスタイルにより演奏されたのはともかく、第1楽章などではもう少し一つ一つの音を明晰に響かせてもらいたいという感も拭えない。全曲にわたる鋭角的な響きが、この交響曲を、些かヒステリックなものにしてしまったようにも思われる。

 その点、たっぷりした音で、巨大な絵巻物を繰り広げるような演奏となったマーラーの「交響曲第1番《巨人》」の方が、私にはずっと楽しめた。起伏が大きいだけでなく、最弱音が豊かな拡がりを備えてひときわ美しい。しかも、音が少しも混濁せず、明晰さを保っているところがいい。
 とりわけホルン群がパワフルで、例えば第1楽章後半での3連音符による咆哮といい、第2楽章でのゲシュトップトのフォルティッシモの個所といい、あるいは全曲大詰の頂点での歓呼━━。それらがオケの最強奏を突き抜けて響いて来るさまは、なかなかに壮烈だった。

 この演奏では強弱の対比が鋭かったのも印象に残るが、それは普通の演奏に聴かれるようなフレーズごとの変化の個所よりも、弱音の上に突然閃くクラリネットなど木管のモティーフの扱いの個所に多く聴かれた。一種の表現主義的な演奏ともいうべきか。オラモの感性を窺わせて興味深い。

 というわけで、サカリ・オラモとストックホルム・フィル、今回はかなり個性的な演奏を聴かせてくれて面白かったが、プログラムは相変わらず客寄せを狙った名曲路線だ。
 招聘元も、その中にスウェーデンの作曲家の作品をせめて一つくらいは交ぜるくらいの度量を示せないものかと思う。今日は辛うじてアンコールに、それもアルヴェーンの「羊飼いの踊り」という軽快な小品が演奏されただけだった。

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