2018-06

2018・6・10(日)カザルス弦楽四重奏団

     サントリーホール ブルーローズ  7時

 「サントリーホール チェンバーミュージック・ガーデン2018」の一環、カザルス弦楽四重奏団の「ベートーヴェン・サイクル」の第6回(最終回)。
 ベートーヴェンの弦楽四重奏曲から「第6番Op.18-6」「第16番Op.135」「第15番Op.132」が演奏された。

 カザルス四重奏団という名は━━かつてカザルスホール・カルテットという団体があり、広く愛されながら日本大学に閉鎖されてしまったお茶の水の素晴らしい演奏会場カザルスホールと結びついて、私としては何となく複雑な思いになってしまう名称なのだが━━今回の団体はもちろんそれとは関係なく、1997年に設立されたスペインの弦楽四重奏団だ。
 ヴァイオリンがアベル・トマスとヴェラ・マルティナス・メーラー、ヴィオラがジョナサン・ブラウン、チェロがアルノー・トマス。このうちブラウンだけがシカゴ生れで、他の3人はバルセロナあるいはマドリード生れの由。
 第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンが交替で受け持たれるが、こういった例は他にもある。

 スペインの四重奏団だからといって、別にスペイン的な演奏をするわけではないのは、当節なら当たり前のこと。だが、特に先入観念なしに聴いても、このカザルス弦楽四重奏団の美しい音色の、清々しくて明晰な演奏のベートーヴェンからは、ウィーンの団体とも、ドイツの団体とも、もちろん米国や日本の団体とも明らかに違う何か独特の濃厚な音色や表情が感じられる。
 とりわけ第1ヴァイオリンを女性のヴェラが受け持った時には、そういう印象を受ける。彼女は、今日は「135」と「132」でアタマを弾いたが、トマスがそれを受け持った「18-6」に比べると、良い意味での自由さと闊達さが現われていたようである。

 私はもともと、弦楽四重奏の場合には、第1ヴァイオリンはかっちりと「正確に」弾く人の方が好きで、自由奔放に勝手に弾く人は━━有名なヴァイオリニストにもそういう人がいるじゃありませんか、だれとは言いませんが━━苦手だ。
 いや、ヴェラ・マルティナス・メーナーがそうだと言うのでは決してない。しかし、「135」の第2楽章の、あの第1ヴァイオリンが激しく跳躍を繰り返すような個所では、トマスがきっちりと弾いてくれた方がよかったのではないか、と思ったのは確かなのである。
 だが一方、「135」の叙情的な第3楽章、あるいは「132」全般を聴いていると、これはやはりヴェラの時の方が、明らかに演奏が表情も濃く、生き生きしていて面白いな、とも感じるのだった。

 この「132」は、第3楽章をはじめ、深味があってしかも美しく、感動的な演奏だった。

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