2018-06

2018・6・8(金) アルテミス・カルテット

     紀尾井ホール  7時

 30年近いキャリアをもつアルテミス・カルテットの現在のメンバーは、ヴィネタ・サレイカ(第1ヴァイオリン)、アンシア・クレストン(第2ヴァイオリン)、グレゴール・ジーゴル(ヴィオラ)、エッカート・ルンゲ(チェロ)。チェロを除き、メンバーが立ったまま演奏することでも知られる弦楽四重奏団である。
 プログラムは、ベートーヴェンの「第3番ニ長調」、ヤナーチェクの「第1番《クロイツェル・ソナタ》」、シューマンの「第3番イ長調」。

 1曲目のベートーヴェンが、もちろん美しく明晰な音だったものの、何か今一つ集中力に不足した感の演奏だったのに比べ、ヤナーチェクの「クロイツェル・ソナタ」はさすがに圧巻で、鋭く激しいモティーフが衝撃的に切り込んで来るところなど、このカルテットの実力を物語っていた。
 1曲目ではごく普通の拍手といった雰囲気にとどまっていたこの日の客席が、「クロイツェル・ソナタ」が終った瞬間には爆発的な拍手に変わったというのも、お客さんがこの演奏をどう受け止めたかということを如実に示しているだろう。

 シューマンの「3番」では、中間2楽章の美しさが傑出していた。均整のとれたアンサンブルの中にも、各声部の動きが実にはっきりと浮かび上がるのが見事だ。とりわけ、ヴィオラとチェロは明晰そのものであった。
 問題はやはり第4楽章のクアジ・トリオの個所で、━━私はいつも首をひねるのだが、どのカルテットも、あそこをどうしてあんなに単調に雑然とした形のまま演奏してしまうのだろうと・・・・。

 私は今でも、ミュンヘン国際コンクール優勝後間もない東京クァルテットが、この曲を1973年5月7日に東京文化会館で演奏した時のことを思い出す。
 彼らはその部分全体を非常に強いアクセントをつけながら演奏し、途中で一度引き締めてから、たたみ込むようなリズムでクレッシェンドして行き、主旋律に戻るという手法を採った。このクアジ・トリオの部分がどれほど変化と緊迫感に富んだものになったかは、言うまでもない。

 45年前のその東京クァルテットの演奏は、私がFM東京時代に収録して「TDKオリジナルコンサート」で放送したが、幸いにも倉庫に眠っていたテープが2004年頃に発掘され、同番組名と同じレーベルでキング・インターナショナルからCDになって発売された。今、手に入るかどうか、甚だ心もとないが、━━好事家の方は是非一度お聴きになってみて下さい。70年代初めの東京クァルテットがいかに凄かったかが、分かる。

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