2018-06

2018・6・3(日)METライブビューイング マスネ:「サンドリヨン」

     東劇  6時30分

 メトロポリタン・オペラの4月28日上演のライヴ映像、マスネのオペラ「サンドリヨン」。これは何とMETでは初めての上演の由。

 ロラン・ペリーの洒落た演出と衣装、ラウラ・スコッツィの洒落た振付、ベルトラン・ド・ビリーのふくよかな指揮。そしてジョイス・ディドナートのサンドリヨン、アリス・クートのシャルマン王子、キャスリーン・キムの妖精、ステファニー・プライズの母親ド・ラ・アルティーエル夫人、ロラン・ナウリの父親パンドルフ。━━すべてが美しく整った舞台と演奏で、これは成功したプロダクションと言えるだろう。

 歌手陣の中ではズボン役のアリス・クートのメークがあまりサマにならないのが惜しいが、当り役のディドナートとの二重唱は聴き応えがあった。
 キャスリーン・キムは、何年か前の「中国のニクソン」での物凄い迫力の江青夫人のあと、しばらく快調な声を聴く機会が無かったので、もしかしたらあの役で声を潰してしまったのではないかと心配していたのだが、幸いこちらの杞憂だったようで、祝着である。
 そしてロラン・ナウリが相変わらず巧い。私はこの人の大ファンだ。

 「サンドリヨン」というオペラは、各エピソードが短く、しつこくなく、過剰にならず、全体にバランスがよく、それはいかにもフランス的なのである━━と、ド・ビリーがインタヴュ―で語っていた。
 なるほど第1幕と第2幕は、その指摘は当たっているだろう。しかし第3幕と第4幕は必ずしもそうではないようで、やはり長く感じられるし、ストーリーが停滞するきらいがなくもない。
 こういう個所では、「マスネにとって音楽とは楽しい気晴らしであり、バッハやベートーヴェンを支配したあの厳しい神のものではなかった」というドビュッシーの指摘や、「マスネの特質は、砂糖をまぶしたようなある種のエロティシズムである」というハロルド・ショーンバーグの指摘も、なるほどと思わせる。

 なお、この後半の二つの幕では、今回のペリーの演出では、ドラマはかなり幻想的なタッチが採られていた。大団円はなんだか不条理的な感を与えるが、これは誰が演出しても似たり寄ったりになるようである。

 休憩を含めて上映時間は3時間を少し超す。8日までの上映。今シーズンのMETライブビューイングはこれが最終作だ。

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