2017-07

2017・7・28(金)エリアフ・インバル指揮大阪フィル マーラー「6番」

     フェスティバルホール(大阪) 7時

 エリアフ・インバルが客演。大阪フィルへは、昨年のマーラーの「第5交響曲」他を振って以来、2度目。今回は「第6交響曲《悲劇的》」1曲のみ。今日は2日目。

 インバルは今回、第1楽章と第2楽章(スケルツォ)の間、第3楽章(アンダンテ)と第4楽章の間とを、それぞれアタッカ同様の形で指揮した。オーケストラも大変だったろう。

 2日目だったせいなのか、あるいは、まだそれほど馴染みのない大阪フィルとの仕事だった所為なのかは定かでないが、今日の「6番」は、インバルの指揮するマーラーとしては、不思議なほど力任せにエネルギーを解放した演奏に感じられた。金管も打楽器も、鳴らすこと、鳴らすこと。
 特に第4楽章は怒号咆哮の連続で、もともと凶暴な性格を持ったこの楽章が、いっそう凶暴さを増して聞こえたのである。

 都響を振った時のインバルは、たとえ全管弦楽を怒号させた時でも、決して厳しい構築を崩さない指揮者だった。聴き手に息苦さを感じさせるほど、引き締めた演奏になる。同じ凶暴さでも、厳然たる強面の凶暴さ(?)という印象があった。それが近年のインバルのマーラーだと受け止めていたのだが━━。

 組む相手のオーケストラによって意図的にアプローチを変える人とも思えないから、やはりこれは、気心知れた都響と、客演僅か2度目の大フィル相手の呼吸の違いから生まれたものだろう。
 もちろん今回の演奏も、歯止めの利かない暴発といったものではなく、インバルらしい制御を随所に利かせ、均衡を保持した演奏だったのは事実である。第3楽章での起伏の大きな、しかし情感に溺れぬ叙情美など、インバルならではのものがあった。

 そして大阪フィル(コンサートマスター崔文洙)は、このオーケストラらしいパワーを全開してインバルの指揮に応じていた。かなり荒っぽいところも多かったけれど、それは特に非難されるべき質のものでもないだろう。昔、朝比奈時代には、東京のファンからは「野武士の如く豪快な荒々しい迫力」と言われ、それが人気だったことさえあるくらいだ。
 管のソロも概して好調、打楽器陣も活躍。

 第4楽章でのハンマー(2回)は女性奏者が受け持っていたが、このハンマーは意外に小型のもので、残念ながら「たかだかと振りかぶり、風を切って打ち下ろす」(アルマ・マーラー回想録)という光景にはならなかった。ただ、小さいせいか、音は所謂「鈍い威圧的な衝撃音」ではなく、軽いバチンという音にとどまっていたのには、少々拍子抜け。インバルの好みではないだろう。以前の演奏ではもっと重々しい音を出させていたから。

 開演前には毎回、ホワイエで、大阪フィルの福山修氏(事務局次長兼演奏事業部長)のプレトークが行われている。マイクは使っているがPAの音量が非常に小さい上に、離れたエスカレーターの近くで場内案内をする男のレセプショニストの不必要なほどの大きな声がこだまして響いて来るため、演壇の周囲の数十人にしか聞こえない。だが始まる前から既に人が集まっている。今日はいつもより多く、100人近くが集まっていた。
 話のあとで質問を受け付けるやり方だが、質問をぶつける人の多いこと、活発なこと。東京では、こんなに反応が返ってくることはあまりない。福山さんも「関西ではこうなんですよ」と言っていた。羨ましい参加意識だ。
    別稿 モーストリー・クラシック10月号 公演Reviews

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