2017-04

2017・4・8(土)大阪4大オーケストラの響演

     ザ・フェスティバルホール  4時

 最初は単発イヴェントかと思われたこのユニークな演奏会も、回を重ね、はや第3回。
 そして今年も、大阪国際フェスティバル(第55回)の一環としての開催である。このフェスティバルの目玉公演の一つとして、定着することになるか。
 ともあれ、この「4大オケ」が、大阪の大フェスティバルにおける、いわゆる「レジデント・オーケストラ」の役割を果たすことになるなら、それは非常に結構なことであるに違いない。どれか1団体が━━となるとカドが立つだろうから、4つ一緒に、となれば、丸く収まるかも。

 さて今年は━━
 飯森範親指揮日本センチュリー響がハイドンの「交響曲第103番《太鼓連打》」
 外山雄三指揮大阪響がチャイコフスキーの「くるみ割り人形」組曲
 角田鋼亮指揮大阪フィルがR・シュトラウスの「ドン・ファン」
 藤岡幸夫指揮関西フィルがレスピーギの「ローマの松」
というプログラムになった。

 3時半から「プレ」が始まり、まずは4つのオケの金管奏者たちが登場。トランペットとトロンボーン計12本で、大栗裕の「大阪国際フェスティバルのためのファンファーレ」が、続いてホルン6本で、プレスティの「マーチ」が演奏された。
 そのあとに、4人の指揮者たちのプレトークがある。これが、毎年面白い。昨年は無口だった長老・外山雄三が今年は元気で、鋭いツッコミを入れたりして会場を笑わせる。
 進行役は朝日放送のアナウンサーで、野外イヴェントさながらのビンビン響く声で切れ目なくまくしたてるのには疲労させられたが、それはまあ好みの問題としても、この進行役、金管奏者たちを紹介する際に、1人抜かしてしまったような気もするのだが?

 演奏は、毎年のことながら、4オケとも気合の入ったステージだ。
 飯森と日本センチュリー響(コンサートマスター松浦奈々)は、売りもののハイドンの交響曲で勝負に出る。「太鼓連打」に相応しく、ティンパニのパートに趣向を凝らし、冒頭では奏者が太皷をたたきながら入場して来たり、ティンパニを2対にして派手にたたかせたりと、近年流行りのスタイルで聴衆を楽しませる。
 第1楽章では、派手なティンパニに比べ、トゥッティには何となく慎重さが感じられたものの、第2楽章からは音色も多彩になり、表情も豊かになって愉しめた。演奏全体にもう少し洒落っ気があれば、申し分なかったろう。
 松浦さんのコンマスぶりは久しぶりに拝見したが、以前見られたような華やかで愛らしい身振りが影を潜めていたのには少々落胆。なんか言われたのですか?

 外山と大阪響(コンマス森下幸路)は、これはもう、完全に外山スタイルのチャイコフスキーというか。バレエ音楽をひたすらイン・テンポで、頑固に滔々と押して行くという手法には些か賛意を表しかねるが、かりにそれをひとつの交響組曲として解釈するなら、今日のオーケストラのまとまりの良さ、昨年のストラヴィンスキーよりもはるかに濃くなった色彩感の魅力、ということもあって、それなりに説得性をもつ解釈ではあろう。

 休憩を挟んで登場した大阪フィル(コンマス田野倉雅秋)は随一の大編成で、老舗の貫録、フェスティバルホールの「あるじ」オケとしての自信など、威力充分だ。
 これまでの井上道義に替わって指揮台に上がったのは、同団「指揮者」の、若手の角田鋼亮。最近めきめき頭角を現して来た人だが、実は私は、彼の指揮する「正規の」ステージ演奏を聴いたのは、これが初めてなのである。非常に闊達で、勢いのいい指揮なのには、好感を抱いた。大阪フィルを伸び伸びと鳴らした、颯爽たる「ドン・ファン」だ。
 最後の「炉端の火も消え、総てが暗くなった」に相当する個所でオーケストラから引き出した暗く不気味な表情は、なかなか見事なものだった。主部での力強いエネルギー感と、この終結個所での陰翳とを、ここまで巧く対比させるとは、楽しみな指揮者である。東京のオケの定期にも登場する日を待ちたい。

 今年の大トリを務めた藤岡と関西フィル(コンマス岩谷祐之)は、シンフォニーホールで聴くこのオケとは、かなり趣を異にしたパワフルな力演だった(一昨年の「4大」でもそうだったが)。大ホールを朗々と鳴らしたスケール感と色彩感は、このオケがもつ潜在的な力感を示していただろう。
 他の「3オケ」の金管奏者たちが特別参加したバンダは、2階席の上手側袖近くに配置されたが、1階席中央で聴いた限りでは、その音量はステージ上のオケに消され気味で、必ずしも迫力を感じさせるものではなかったようである。
 しかしとにかく派手な曲だから、今日の演奏会をさらってしまったような印象をも与えたが、藤岡さんは「あの曲なら、だれがやってもああなるよ。ほんとはウチらしい別の曲をやりたかったんだけど」とのこと。

 演奏終了後には、そのまま抽選会が行われ、座席番号により各オケにつき1組ずつ無料招待券が当たるという趣向だった(2700人の聴衆相手にはちょっと少ないのじゃないか?)。6時半頃には終演となった。

 なおこの4月17日には、このホールが入っている「中之島フェスティバルタワー」の隣に、美術館等を包含する「中之島フェスティバルタワー・ウェスト」が開館し、「フェスティバルシティ」なる一大文化センターが形成されるそうで、今年の「大阪国際フェスティバル」にはその「フェスティバルシティ・オープン記念」も謳われていた。

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