2017-03

2017・3・17(金)小泉和裕指揮名古屋フィル ブルックナー「8番」

      愛知県芸術劇場 コンサートホール  6時45分

 小泉和裕の指揮は、1975年1月23日、カラヤン指揮者コンクール優勝から凱旋した直後の新日本フィル定期以来、数え切れないほど聴いているが、ブルックナーの「交響曲第8番」を指揮する彼を聴くのは、今回が最初である。

 予想通り、いかにも彼らしい均衡豊かな、整然とした「8番」となった。どちらかと言えば遅めの、終始安定したテンポで、全曲をがっしりと構築する。第4楽章半ばでの、あの全管弦楽が行進曲調で轟きわたる個所(【N】)でも、アッチェルランドをかけたりなどしない(あそこで加速する演奏は大嫌いである)。

 オーケストラのバランスも完璧であり、各パートの必要な個所を過不足なく浮き彫りにして各主題を明確に描き出すため、たとえば全曲の最後で3つの主題が同時に高鳴る部分でさえ、すべてがはっきりと聴き取れる。分厚く拡がる弦楽器群を基本に音楽を組み立てるのは、小泉の若い頃からの得意業でもある。

 名フィル(コンサートマスターは後藤龍伸)も渾身の力演だ。ホルンに不安定なところが若干あったが、これは公演を繰り返せば(東京公演を含み3回)、解決されて行く問題だろう。全体に、アンサンブルの美しさと、音の透明さや清澄さといった要素が加わればと思うが、こちらは今後の課題と思われる。
 「シンフォニーをちゃんと演奏できるオーケストラを」という理想を掲げる小泉が、音楽監督として今後、名フィルをどのように引っ張って行くか、である。

 このブルックナーの「8番」という大曲も、名古屋フィル音楽監督に就任して1年、頃合いも良しという時期を選んでのことだろう。
 そういえば、このコンサートホールは今秋から長期間の工事に入る由。他に大規模なオーケストラ演奏会場を持たぬ名古屋であれば、名フィルにとって、ブルックナーの後期交響曲のような巨大な作品を演奏するにはぎりぎりの時期だったということかもしれぬ。

 使用楽譜は、当初のノーヴァク版という予告が変更され、ハース版になった。私はこの曲に関する限り絶対ハース版の方が好きだから、第3楽章と第4楽章では、あのノーヴァク版ではカットされてしまっている美しい個所を、久しぶりに楽しませてもらった。

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