2011-05

5・22(日)ユーリー・バシュメット指揮モスクワ・ソロイスツ

   東京オペラシティコンサートホール  2時

 バシュメットが指揮するモスクワ・ソロイスツ。弦4-3-5(!)-3-1の16人編成。
 この20年来、いろいろなメンバーが加わったり出たり、その都度演奏水準が乱高下したこともあった。が、現在の顔ぶれは、少なくとも今日の演奏を聴く範囲では、なかなか良いようである。アンサンブルの音色は明晰だし、バランスも安定している。

 今日のプログラムは、メンデルスゾーンの「ヴァイオリンとピアノのための協奏曲ニ短調」、パガニーニの原作をデニーソフがサイケデリックに編曲した「カプリース」から「21番」「9番」「24番」、パガニーニの「ヴィオラ協奏曲」、チャイコフスキーの「弦楽セレナード」で、弦楽合奏の響きはどれも均整の取れたものであった。

 とりわけ「弦セレ」がこのような小編成で演奏されると、極めて澄んだ音色になり、新鮮な趣きが出る。
 バシュメットはその小編成を生かして、まるでソロの演奏のようにテンポを動かしつつ念入りに、思い入れたっぷりに指揮した。が、こういう風にいじりたいという気持は解るけれども、いささか劇的誇張が過ぎたのではないか?
 「ヴィオラ協奏曲」では、御大自ら弾き振り。貫禄と老練さで君臨したが、さすがの英傑もやはり年齢を感じさせた・・・・という印象は拭えず、少々寂しくなる。

 前半2曲では、先年仙台国際音楽コンクールで優勝したヴァイオリンのアリョーナ・バーエワが、華やかなソロで気を吐いた。もともと上手い人ではあったが、今やスター性ともいうべき存在感が身について来たようで、今後がいっそう楽しみになる。
 なお1曲目でのピアノは、バシュメットの愛嬢クセーニャ。・・・・まあもともとこの曲ではピアノは分が悪い、という特徴もあるから・・・・。

 アンコールでは、武満徹の「他人の顔のワルツ」が濃厚な音色で演奏され、シュニトケの「ポルカ」が曲想にふさわしくアイロニカルに演奏されたあと、最後に「津波の犠牲者追悼の意をこめて」ヨハン・ベンダーの「グラーヴェ」が演奏された。
 このヨハン・ベンダーという人は、あのヨハン・フリードリヒ・エルンスト・ベンダーのことなのだろうか? それとも? こういう曲を書いているとは知らなかった(作曲者名は聞き違いでもなかったようだが、譜面を確認してみたいところだ)。

(追記)モーストリークラシック編集部のYさんから、この「グラーヴェ」は、ヤン・イルジー・ベンダの「ヴァイオリン協奏曲ト長調」第2楽章だとのご教示をいただいた。ありがとうございました。
 バシュメット編曲とのことで、YOU TUBEにも彼の演奏が何種類か出ている。協奏曲の全曲はナクソスからも出ており、そのデータによれば、ボヘミアの音楽一族ベンダ家の祖ヤン・イルジー・ベンダ(ヨハン・ゲオルグ・ベンダ、1686~1757)の作品とのこと。
 ただし、ナクソスのサイト掲載の作曲者プロフィールや、ニューグローヴ世界音楽大事典(講談社刊)をよく読むと、村楽師だった彼の経歴からして、彼の作品とは思えぬ向きもある。むしろ彼の次男である同名のヤン・イルジー・ベンダ(1713~52)――フリードリヒ大王の楽団のヴァイオリン奏者でもあり、ヴァイオリン協奏曲をも書いている――の作品ではないのかとも思えるのだが、どうか? 新たなご教示を待ちたい。

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