2008-05

5・30(金)日本フィル第600回(東京)記念定期

   サントリーホール

創立(1956年)以来53年目、第1回定期を開催してから52年目で、ついに600回目の定期公演を迎えた日本フィル。プログラムの付録として、第1回から第600回にいたる東京全定期の指揮者、ソリスト、曲目を掲載したパンフレットも配布された。眺めていると、うたた感ありだ。渡邊曉雄時代、マルケヴィッチやミュンシュの客演、小澤征爾の登場、新日本フィルとの分裂、自主運営オケとしての苦難の道程・・・・。600のうちのどれを聴いたか、どんな演奏会だったか、すべてはっきりと記憶している。

 その600回定期への客演は、ジャンルイジ・ジェルメッティ。曲はブラームスの「ドイツ・レクィエム」であった。日本フィル協会合唱団、菅英三子、河野克典が協演。
 合唱はP席を溢れんばかりに埋めた極超大編成だが、かなり柔らかく歌う。このためいずこからともなく声がそっと沸き起こり、会場全体を包み込んでしまうような効果が生まれていたが、やはりオーケストラをも柔らかいヴェールで覆ってしまうような結果にもなり、すべてが模糊とした音に包まれていたのは、善し悪しでもあった。
 しかし、これはおそらく、ジェルメッティの意図だったのだろう。日本フィルの演奏も合唱に覆われ気味で、明晰さは犠牲になっていた。しかしその代わり、夢の中にいるような飽和的な響きがあって、特に第2楽章後半でのティンパニの音など、リズムというよりは完全なハーモニックスを形成するものとして響いていたところなどは面白い。すべてが不思議なサウンドだったが、温かさを感じさせる。盛り上がりもなかなかのものだ。とはいえ、そういった柔らかい空気に支配されていたため、劇的な流れは割引され、大詰めの安息感が生きてこなかったという印象もある。
  音楽の友8月号(7月18日発売)演奏会評

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