2008-05

5・16(金)井上道義指揮
兵庫芸術文化センター管弦楽団のベートーヴェン

   兵庫県立芸術文化センター大ホール マチネー

 平日午後3時開演にもかかわらず、2千人収容のホールはほぼ満席状態。このホールのマチネーコンサートは、概してこのような盛況なのだそうである。周辺が住宅地なので、お客さんのニーズも高いのだという。なるほど客層は、年輩の人たちが中心だ。リタイアした人たち、時間的に余裕のある人たちが集まるのだと聞いた。地域の状況に即したホールのあり方として、これは実に興味深いし、他のホールにも参考になるケースだろう。
 大阪の梅田からなら阪急電車の特急で12分(普通でも20分)、西宮北口駅の南口にほぼ直結しているホールだから、地元住民でなくても行きやすい位置にある。

 このホール所属の兵庫芸術文化センター管弦楽団(長い名前だ!)のシェフはもちろん人気の佐渡裕だが、今回は井上道義の客演。「井上道義のベートーヴェン」と題した4回シリーズ(各2日連続公演)の、今日は第2回。交響曲の第4番、第5番「運命」、第6番「田園」をいっぺんに演奏するというものすごいプログラムだ。井上のトークも最近は面白い。演奏とトークに対する聴衆の反応も早くて活発である。
 ちなみに第3回は5月23&24日で、「7番」「8番」「三重協奏曲」、最終回は30&31日で「ミサ・ソレムニス」(第9でないところがミソ)というスケジュール。

 オーケストラは10型の小編成。リズムの歯切れが良く、いかにも井上らしい、躍動感を重視したスタイルのベートーヴェンだ。
 ところどころで演奏の空気の密度が薄くなるような印象(4番の第3楽章、5番の第1楽章前半、6番の第1楽章など)もあったが、もともとベートーヴェンの交響曲に慣れているオーケストラではないということだし、2日目には多分改善されただろうと思う。
 ただ気になったのは、このオーケストラに以前からしばしば聞かれる、緻密なアンサンブルに欠けるという問題がなかなか解決されていないことだ。特に管楽器群にそれが言えるだろう。もちろん、音楽的な自発性は大切だし、ソロ奏者それぞれが個性を発揮するというのは大いに結構で、オーケストラには不可欠な姿勢なのだが、それとアンサンブルが雑に流れることとは、また別の問題である。よくわからないけれども、ソロを吹くコア・メンバーと、エキストラ・メンバーとの間におけるメンタリティのバランスなどにも原因があるのかしらという気もするのだが・・・・。 

 今回は井上もかなり苦心してまとめたらしいが、その問題は、客演指揮者の責任の及ぶ範囲ではあるまい。とにかく、地元のファンからこれだけの圧倒的な人気と支持を集めているオーケストラである。それに酔うことなく、どこから見ても完璧なオーケストラとしての水準を自ら保って欲しいものである。

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