2008-03

3・3(月)聖トーマス教会合唱団&ゲヴァントハウス管弦楽団
「ロ短調ミサ」

  東京オペラシティコンサートホール

 私はバッハ・マニアではなく、バッハにとりわけ詳しい聴き手でもないが、しかし2日間続けてバッハの宗教曲の大曲を聴くことができたのはうれしい。
 実はバッハの宗教曲の中で、私が一番好きなのはこの「ロ短調ミサ」なのである。そのことをたまたま隣り合わせになった加藤浩子さんに言ったら、「へェ」と意外な顔をされた。バッハの専門家からみればそうだろう。

 それにしても、ゲヴァントハウス管弦楽団の演奏するバッハも、昔に比べれば随分音色が変わったものだ。何もこのオーケストラまでがノン・ヴィブラート奏法めいたものを取り入れなくても、とは思うが、今や猫も杓子もピリオド楽器スタイルという時代。もっともこれは慨嘆しているという意味ではない。私自身がバロックからハイドン、モーツァルトあたりまでは絶対ピリオド楽器オケで聴きたい、という好みだから、この日の演奏にもほぼ満足していた次第なのである。ただ一つ、このゲオルク・クリストフ・ビラーというトーマス・カントール殿の指揮にだけは、もう少し緊迫感を持ってもらいたいなと以前から思い続けているのだが・・・・。

 女声合唱のパートを少年合唱が受け持つこの有名な合唱団も、今回は、些か粗い。前回どこかで聴いた時も同じような印象があったから、これもやはり指揮者の責任ということになろう。練習よりは経験と伝統とで歌っているという雰囲気だ。ただ、どんなにガタピシしていても、曲が昂揚して最後の高貴な終止にいたった瞬間の和声の透明な均整の美しさは、すばらしい。これはもう伝統の強みゆえとしかいいようがない。
 

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