2008-03

3・2(日)エイジ・オブ・エンライトメント管弦楽団
バッハ:「ヨハネ受難曲」

  東京オペラシティコンサートホール

 「マタイ受難曲」に比べれば劇的な要素が強い作品だというのは理屈では解っていたけれども、たまたまこれまでナマで聴いた演奏のせいか、こちらの共感度が不足していたか、実際に圧倒されたことは一度も無かったのである。だが今回、やっとそれが根本から覆った。自分は今まで何を聴いていたのだろうとさえ思う。

 しかしこれはやはり、エイジ・オブ・エンライトメント管弦楽団(表記は公演プログラムに従う)の演奏が示した見事な密度、量感、鮮やかな切込み、強靭な劇的緊迫感などが創り出したものにほかならないと確信する。凡庸な演奏からは、この曲の良さは伝わってこない。そこが「マタイ」との違いとも言えるのだが。
 とにかく、このオーケストラが創るドラマティックな推進力は、ピリオド楽器オケ特有の鋭角的な音色が生む鮮烈な力と相まって、息をのむほど凄まじい。しかもこれは、休憩なしの2時間近く、指揮者なしの演奏だったのである。

 合唱(エンライトメント合唱団)は女4人、男7人。その中にマーク・パドモア、ピーター・ハーヴェイ、マイケル・チャンスらの有名歌手たちがいて、ソロのパートをも受け持つ。
 パドモアは、エヴァンゲリストを歌った。事前の資料では彼が指揮もするとなっていたが、実際にはリーダー的な役目であった。ソリストたちにはややムラもあったが、合唱としてのハーモニーは立派である。
 全曲が終った後、すぐ続けてヤーコプ・ハンドルという、バッハより1世紀以上前の作曲家によるモテット「見よ、義しき人が死に行くさまを」が無伴奏の合唱で歌われた。この和声的な美しさも特筆すべきものだったが、この「付録」はあって悪いというほどではないものの、無くてもどうということはなかったろう。

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