2007-10

10・25(木)ネヴィル・マリナー指揮NHK交響楽団

 サントリーホール

 マリナーは、アカデミー時代は別として、指揮者になってからはよくいえば穏健、悪く言えば面白みのない人になってしまっていた。年齢を加えて円熟とともに、何か新しいものが加わってきたかと期待もしたが、実際はさほどでもないようである。それがマリナーの持味だというなら、それはそれでいいのだろうが。
 ブラームスの「第4交響曲」は、いかにも彼らしく均整の取れたつくりで、些かも聴き手の度胆を抜くような誇張や演出は採らない。強いて言えば、第1楽章や第3楽章で割り気味に強奏させるホルン、第1楽章や第2楽章で浮き上がらせるファゴット、第4楽章で叫ぶトランペットといったように、個々の楽器を際立たせ、音楽を強調することくらいが目立つ点だろう。
 ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲でも同様、フィナーレに大きな頂点を設定し、それまで抑制してきた音量的なエネルギーを一気に解放するという方法を採る。これはある意味で効果的ではある。
 協奏曲のソロは、若手のアラベラ・美歩・シュタインバッハーで、前半2楽章ではきわめて楚々とした叙情性に重点をおき、繊細な音色で歌い上げる。それがあまりに徹底しているので、ベートーヴェンをここまで嫋々たる音楽のままにしてよいのかと不安に陥ったほどだが、第3楽章ではマリナーと歩調を合わせたごとく決然たる表情となり、さらにカデンツァでは荒々しいほどのエネルギーを放出してみせた。アンコールで弾いたイザイの第2ソナタの一節も激しく、昔の人が言う「初めは処女のごとく、終りは脱兎のごとし」なる形容が頭をよぎるほどである。どちらかといえば、後半の方が成功しているといえるだろう。この格差はなかなか面白い。
音楽の友08年新年号演奏会評

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