2007-10

10・20(土)飯森範親指揮東京交響楽団「ルプパ」

  サントリーホール

 ハンス・ヴェルナー・ヘンツェのオペラ「ルプパ~ヤツガシラと息子の愛の勝利」を、若干の映像も加えた簡素なセミ・ステージ形式(演出・飯塚励生)で日本初演。
 2003年にザルツブルク音楽祭で初演された時には、ディーター・ドルンのおとぎ話的な美しい舞台が印象的で、字幕がなかったにもかかわらず、物語の内容は解りやすかった。今回はそういう面では少々殺風景な感を免れないし、演技の点でもやや明快さに不足したといえようか。
 だが、経済的に苦しい民間の自主運営オーケストラが、こんなに大変な手間と費用のかかる現代舞台作品の日本初演を、たとえ年に一度でも敢行するというのは、実に見上げたものである。放送交響楽団として恵まれた状況にありながら名曲レパートリーにのみ安住し、大作の一つも紹介するわけではないN響あたりと比べて、その姿勢は賞賛されて然るべきだろう。

 「ウプパ」(「ル」は冠詞)は、ここではサトイモの「八頭」ではなく、鳥のヤツガシラ(戴勝)のこと。逃げたヤツガシラを父のために探し出す親孝行の息子を主人公にしたメルヘン・オペラである。
 全曲にわたり打楽器が多用され、すこぶる色彩的なオーケストレーションを備えており、ヘンツェの他のオペラに比較してすこぶる明るい、晴れやかなものになっている。欠点といえば、音楽の構成に、いわゆる「山場」というものがないことだろう。
 飯森範親と東京響は密度の濃い熱演を披露。ザルツブルク初演の際のマルクス・シュテンツの指揮よりも、よほど面白く感じられた。今回は鳥のさえずりや羽ばたきの音が客席を取り囲むように効果音として使われていたが、この音量は些か大き過ぎたか。
 歌手では、三男坊の孝行息子アル・カジムを歌ったラウリ・ヴァサールと、彼を援けるデーモン役のトーマス・マイケル・アレンが好演。他にファブリス・ディ・ファルコ(アジブ)、ジェローム・ヴァルニエ(カリブ)、森川栄子(バディアト)ら。
 字幕は、解りやすい文章だったが、オルガン横の左右の壁の高い位置では遠く、しかも小さくて、読むのにえらく苦労。
 「音楽の友」12月号演奏会評

«  | HOME |  »

























Since
September 13, 2007

これまでの来訪者数

最近の記事

お知らせ

●2007年7月以前のArchivesを順次、アップロード中です。併せてご覧下さい。
2007年7月
2007年6月
2007年5月
2007年4月
2007年3月
2006年7月

Category

ブログ内検索

プロフィール

リンク

News   

雑誌 モーストリー・クラシック に連載中
「東条碩夫の音楽巡礼記」