2007-09

9・23(日)クリスティアン・アルミンク指揮新日本フィル「こうもり」

 すみだトリフォニーホール

 セミ・ステージ形式というよりは、小規模な舞台でのオペラ上演と言ったほうがいいくらいに凝った作りだ。制作費も馬鹿にならなかったのではないかと心配になる。

 オーケストラ後方に櫓で組み上げられた仮設舞台と、セットされた小道具(ポスター等)は、演劇サークルの部室かアングラ劇場の舞台か何かみたいに見え、普通の「こうもり」のイメージとはほど遠い(美術・鈴木俊朗)。主役と合唱(栗友会)とオーケストラも自由でカラフル衣装なので、ステージはすこぶる雑然として騒々しい印象だ。 
 客席通路を利用する手法は、前回の「ローエングリン」のようなシリアスなものでは雰囲気が散漫になって逆効果だったが、今回のようなオペレッタなら違和感はない。ドイツ語上演で、日本語でのセリフのやりとりも挿入されていたが、シャレとして効果が上がるよりも、理屈に合わない印象が先に立ってしまった。加納悦子がパンク・ファッション系オルロフスキーで意外な跳ねぶりを示し、アルミンク自身も時には役者の仲間入りをしていた(演出・三浦安浩)。

 新日本フィルは、日本人演奏家が苦手とするウィーンのオペレッタを、とにかくよくやった方だろう。音色はあまりきれいではなかったが、勢いと活気で押し通した。アルミンクも熱意で全員を引っ張ったという感。歌唱ではカルステン・ジュス(アルフレード)が出色の出来で、ベッティーナ・イェンセン(ロザリンデ)とヘルベルト・リッペルト(アイゼンシュタイン)が安定。松田奈緒美(アデーレ)は有望だが、ムキになったような熱演から肩の力が抜ければなお良くなるだろう。

 なお、第1幕でアルフレードが「乾杯の歌」を余興に歌う趣向はめずらしいものでもないが、第2幕の宴会場面にヴォルフガンク・リームの「憧れのワルツ」を取り入れたところが、いかにも現代音楽を得意とする若いアルミンクの姿勢を感じさせて面白い。聞けば、ここにアバの「ダンシング・クィーン」を入れようという案もあったそうな。実現していればそれも面白かったと思う。
 「音楽の友」11月号演奏会評

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