2007-09

9・20(木)アンドレ・プレヴィン指揮NHK交響楽団

サントリーホール

 武満徹の「セレモニアル」(笙:宮田まゆみ)で始まり、コープランドの「アパラチアの春」に続く。この組合せの流れが、実にいい。かりにこの2曲が切れ目なしに演奏されたとしても全く不自然には感じられなかったであろう。それはちょうど、「セレモニアル」の曲想が形を変えてどこか異なる次元へ展開して行き、いつしか「アパラチアの春」の第1曲へ流れこむ、という感じなのである。このあたりが、プログラミングの妙味というものだ。

 前記2曲におけるやや硬めの、しかも明るい弦の響きから一転して、後半のラフマニノフの「第2交響曲」では、極度に翳りの濃い、くぐもった響きの、しかも重厚で巨大なスケール感にあふれる音楽が展開した。
 プレヴィンという指揮者は、もともとオーケストラに豊かな美しいふくらみをもたせる美点をもつ人だったが、年令を加え、そこにいっそう巧味を増したようである。この「第2番」の演奏で彼が創り出した拡がりと奥行感をたたえた響きは、かつて日本のオーケストラからは聴いた記憶がないといっていいくらい、圧倒的なものがあった。
 たとえば、第1楽章でホルンがひときわ高くモティーフを吹く個所。ここは最強奏の管弦楽の遥か奥の方から巨大な咆哮が轟いて来るといったイメージになっていて、私は我にもあらず、ぞっとさせられたほどである。また両端楽章で多用されているデクレッシェンドの個所では、沸き立っていた潮が急激に彼方へ引いて行くような趣で、それはラフマニノフ特有のデュナミークの対比を十全に生かすものであった。

 プレヴィンは、歩く姿を見た印象では、やはり齢をとった・・・・。50歳を超えた頃から穏やかさを増した顔の表情も、さらに年齢相応になったようである。だが、このラフマニノフの交響曲でN響から引き出した音は、以前にも増してすばらしいものだった。今後、彼の指揮を聴ける機会がどのくらいあるかわからないけれど、やはりまた、何度でも聴きたい。

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