2007-09

9・18(火)スクロヴァチェフスキ指揮読売日本交響楽団

 サントリーホール

 スタニスラフ・スクロヴァチェフスキは、この10月で84歳になるはずだが、相変わらず元気いっぱいだ。彼の指揮から噴出する音楽も、歯切れがよくて若々しい。今夜のメインはブルックナーの「第3交響曲」。しかし前半には、一捻りした曲目を入れた。レパートリーに新鮮さを導入するものとして、大いに歓迎されるべき姿勢である。

 その前半のプログラムの1曲目はモーツァルトの「ドン・ジョヴァンニ」序曲だったが、めずらしくもブゾーニによる編曲版が取り上げられた。
 これは、序曲の最後の個所、つまりオリジナル版では第1幕に入る直前の個所に、石像が出現する場面の劇的なアタック(序曲冒頭とは些か違う)が取り入れられ、それが全曲フィナーレの6重唱の音楽に変わって、そのエンディングの引用で曲を終る、という編曲である。早い話、「序曲」の最後に「オペラの最後の部分」をもって来てつけたというわけだが、なんとなくこの序曲がポプリ(接続曲)的な性格を帯びてしまい、下世話な感じになったのは否めまい。アイディアとしては面白く、ニヤリとさせられるけれども、もう一度聴いてみたいというほどのものでもない。

 2曲目はルトスワフスキの「第4交響曲」。これが今夜最大の収穫だった。他界の前年(1993年)に完成された、事実上2楽章からなる20分強の長さの曲だ。暗鬱な響きを基調としながらも多彩な音色の変化に富み、余裕の境地に達した名人の手による凝縮された音楽、という印象である。これはすこぶる強烈な印象を残す作品である。休憩時間を挿んだとはいえ、そのあとのブルックナーの「3番」が、妙に軽く感じられてしまったほどだ。

 軽く、などとはブルックナーの交響曲に対して不謹慎な表現だが、スクロヴァチェフスキのブルックナーは、ナマで聴くと、決して重くは感じられないタイプの演奏である。だが第2楽章の弦の厚みは魅力的だったし、第4楽章のコーダはトランペット群も見事に決まっていた。この指揮者はもともと合奏を緻密に整える人ではないため、読売日響がずいぶん自由なアンサンブルになってしまっているのが気になるが、それを別にすれば、演奏にあふれる滋味の快さは、やはり天下一品の趣があった。

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