2007-09

9・11(火)キエフ・オペラ来日公演
チャイコフスキー:歌劇「エフゲニー・オネーギン」

  新国立劇場

 キエフ・オペラ(ウクライナ国立歌劇場)の今回のだしものの中では、唯一のロシア・オペラ。地方色豊かなプロダクションだが、しっかりと几帳面に創られており、お国ものという強みに支えられている。
 旅程の関係でゲネプロなし、ぶっつけ本番の上演(来日オペラ公演ではそういう例はめずらしくない)だったそうだが、アッラ・クルババ指揮のウクライナ国立歌劇場管弦楽団には、たしかに経験だけで演奏しているような雰囲気があった。しかし舞台上の動きと歌唱面は、これがぶっつけ本番の公演とはとても思えないような仕上がりだ。これが、常設の歌劇場の強みというものだろう。

 そのように呼吸の合った歌唱と演技を展開している歌手陣は、当然ながらこの歌劇場所属の歌手たちを中心に構成されている。
 タチヤーナ役のテチヤナ・ハニナは舞台姿も映え、歌唱も堅実だ。ラーリン家時代から清純派的ないいイメージが出ており、公爵夫人となってからの舞台にもう少し風格が欲しい気もするが、先日のザルツブルク音楽祭でのタチヤーナよりはずっといいオンナだ。
 オネーギン役のヴォロディミル・オペンコは最初のうち調子が出なかったようだが、第2幕になって声が出始めた。ニヒリスティックな雰囲気のオネーギンではないが、安定しており、悪くない。
 レンスキー役のドミィトロ・ポポウは真面目で一本気な青年の性格を地で出しているという印象。グレーミンのボフダン・タラスは、あまり上手くない。

 アッラ・クルババという小柄な女性指揮者は、イン・テンポで真面目に音楽を持って行くが、「手紙の場」でのタチヤーナのこみあげる感情、オネーギンとレンスキーの口論が激して行く過程、決闘場面での緊張、全曲大詰での2人の葛藤などでは、音楽がそれにふさわしく盛り上がらず、もどかしい思いに駆られた。ただこれも、2日目の上演では解決されるのかもしれない。
 演出(イリーナ・モロストーワ)はごくオーソドックスで、舞台美術(フェージル・ニロド)もきわめて伝統的なロシアの民族色に富んだものである。かように、トラディショナルなスタイルを自然体で進めて行くプロダクションだが、それがまたピタリと決まっているところが本場ならではの強みだろう。
「音楽の友」11月号演奏会評

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